「民族の世界地図」 21世紀研究会
民族の世界地図

ある民族が他の民族を嫌い、憎み、蔑み、挙句の果てには殺し合いまでする、なんてなことは、これ日常茶飯事というか、今この瞬間にも起こっている事実ではあるのだけど、日本人はその事実を認めないというか、歪めて解釈しようとしている気がするのですよ。実際。

というのも、例えば殺し合いをしている当事者達は相手が憎くて殺しているのだろうけども、日本の新聞・テレビの報道のあり方は、「不幸な事故によりたまたまそうなった」というか、「駐車違反で警察に切符を切られてもた。とほほ、ついてねえ」みたいなノリで、当事者たちが持っているであろう人間のグロテスクな負の感情は無いものとみなしているような気がしてならんのです。わたくしは。

「戦争はしません」「平和憲法を守れ」と呪文のように唱えておれば戦争をせずに済むわけは無いのであるが、おめでたいことにそれで済むと思っている人達は、「民族紛争は話し合いで解決できます」と、それだけ言っておれば、じねんと憎しみは失せ、民族同士は平和的に話し合い、平和など時間の問題、と考えるのかもしれぬ。さらに、もし嫌われる側、つまりは当事者の一方となっている場合でも、こちらが向こうを好いてさえいれば、これまた時間が関係を修復するであろうと考えるのやもしれぬ。

が、それはやはり全くの誤りで、何をどうしようが憎しみが綺麗さっぱり消えることなどないのである。残念ですが。

ならばどうすればいいのかと言えば、まずは紛争・諍いの事実を正しく認識すること。憎しみ、嫌う理由、その背景や歴史を明らかにすること。これが肝要なのであって、そういう材料を揃えた上で、理性的かつ建設的に思考し、対話をするという迂遠な道を、我々人類は歩まねばならぬのであって、これはもう人間の業のようなものなのではないかと、私なんかは思っちゃうわけね。

そんな次第であるからにして、世界中の主な民族紛争を大まかにではあるけれども、いろんな視点から検証しようと試みている本書は、「さてさて、自分もそろそろエエ年やから、こないな問題でも考えてみようかしらん。うふふ」などと企んでいるおっさん・淑女に最適。バッチリですたい。
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