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「石鹸安全信仰の幻 」 大矢 勝
石鹸安全信仰の幻
石鹸安全信仰の幻
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大矢 勝
文芸春秋 (2002/07)
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「合成洗剤は体と環境に悪くて、石鹸は体と環境に良い」
そんなイメージは確かにあるのですが、実際のところはどうなのでしょうか。私にはさっぱり分かりません。

この本で「界面活性剤がどうして汚れを落とせるのか、はじめてよく分かりました」というレベルですから、分かりようもありません。

当然、洗剤の話をする際には有機化学を使わなければなりませんから、この本の中には分子式・示性式・構造式が多数出てきます。ですので、その辺りに耐性が無い人は読むのにちょっと抵抗があるかもしれませんが、中学理科程度の知識でなんとか読めるかと思います。
#もちろん、高校化学や高校生物を知っているのであればより深く読めるかと思いますが。

そういう風な界面活性剤の種類や働きの説明にはじまり、生物に及ぼす影響をデータとして収拾する方法とその難しさを説明した上で、石鹸と合成洗剤の人体への影響と環境への影響をざくざくっと説明してくれています。

著者の結論は「実験結果や各種のデータからすると、石鹸は皮膚に優しいかもしれんが、環境にはイメージほどは優しくない」といったものです。

砂糖ですら長期に渡って過剰に摂取し続ければ害があります。
それだけでも、ある物質が身体に害があるのかどうかを判断するということが、いかに難しいことであるのかが分かるというものです。
ですので、この著者の言い分も、あくまで「そういう風にも考えられる」と言った述べ方で通しています。

そんなわけで、この本はこのような化学物質が人体や環境に及ぼす影響を考えるときの、ものの考え方の一例を提示している、と読むべきなのでしょう。そう思えば、なかなか参考になります。

つまり、この本では「石鹸云々」を題材としながら、このような問題は「感情やイメージだけで考えない」で、かつ「知識偏重にならない」よう、「論理的にモノを考えていこうじゃないか」と、著者は主張しているのです。


「本・データ」を頼りにせず、「直感・感覚・常識」を重視するのか
「直感・感覚・常識」も大事にしつつ、「本・データ」を元に自分の頭で考えるのか

どちらにするかはもちろん我々次第なのですが、アマゾンのレビューを見ると、上の2つのどちらかにくっきり分かれてます。どちらがしっくりくるのかは、やっぱり本人次第なのよね。

今の世の中、100%安全な物質など求めることはできなません。危険な物質が蔓延している中で、より体と環境にベターな方法はどういったものであるのか。
それは各個人がそれぞれがてめえの頭で考えなさい、という、まあ、当たり前の結論なのでありました。


そういう私の現時点でのこの話の結論は、「まだ分からない」であります。
まだまだ、分からない事だらけの、納得がいかないことだらけです。

ただ、思っていたよりも有機化学が面白く、なんだかそれにはまっています。
「覚えろ」といわれるといやなんですけどね、ものの理屈がわかってくるのはやっぱり楽しいものです。

そういったことが分かっただけでも、この本を読んだ価値はありました。


ちなみに、著者のサイトはこちらでございます。ご参考までに。

(おまけ)この本によると、石鹸だろうと界面活性剤だろうと、体内に蓄積するようなことは無いらしいです。
私自身も、そんな話はありえないとは思っていますが、さてどうなんでしょうねえ。本当だと嬉しいなあ。
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