「<じぶん>を愛するということ」 香山リカ
〈じぶん〉を愛するということ―私探しと自己愛

要点。

・「多重人格」「アダルト・チルドレン」「ストーカー」などの言葉は、ここ数年の間にすごい勢いで広がった。
・この広まり方と、「私探し」「本当の自分」などを重要視する風潮には関係があるようだ。

・また、赤子時代の誇大な自己愛を捨てきれずに大人になる人が増えている。
・そういう人々は、自分をほめてくれる人、自分を受け入れてくれる人、自分は特別と思える証拠品(ブランド物、クルマなど)を求めたがるが、それらは何の解決にもならない。

・自己愛は否定されるものではない。が、誇大な自己愛が内面ばかりに向いていると、よくない状態になる。
・探すべき自分を「すでにそこにあり、発見されるもの」として捉えるのではなく、「手の届かない場所にあり、それを獲得すべく努力を必要とするもの」と捉えるべきだろう。
・つまり、「自分」は探すものではなく、作るものなのだ。

以上。ちょっとはしょりすぎ。

本を手にとって「私探し」という言葉を見た瞬間に、「探すんじゃなくて、作るんだろうが」と思った私でした。
最後まで読んで結論が一致してちょっと驚きましたが、まあ、ありがちだしね。


そんなわけで、今時の
「何がしたいのかよくわからん若い連中」
が、どういう心理で動いているかがとてもよく分かる本です。

過剰に自分を愛している人、過剰に自己を肯定する人は正直苦手なのですが(つーか嫌い)、それらの人のことがよーく分かりました。


あとさ、

(本文より引用)
「そうか、私は、ほんとうはもっと違う私であるはずなのに、親との関係でトラウマを背負ってこんなになってしまったんだ。
ほんとうの私は、もっとすばらしい別の私になるはずだったのに」


こう思い込んで自分を肯定し、他人を否定したがる人にとって「アダルト・チルドレン」という言葉はとっても便利なんだろうなあ。
全部が全部そうだとは思わないけどさ。多いんじゃない?実際のところ。

もちろん、私にもそういう部分があるので気をつけなければいかんのだけどね。


最後に。
本を通して、著者の香山先生から

「はぁ、『自分探し』だぁ?眠たいこと言ってんじゃねぇよ」
というオーラがちょっとだけ出ています。

そういうオーラを出しながらも、
「かといってそういう眠たい連中を放置しておくわけにもいかんしなあ。さて、どうしたもんか」
と悩んでいる様がよく伝わってきます。

この辺はとても共感できますな。
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